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A君の熱い冷水

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「A君の熱い冷水」

 

藤井四段、増田四段を破りましたね。

29連勝という記録樹立です。

ニュースや新聞は、多くがトップ扱い、日本中が大フィーバーです。


見出しは踊ります。
「将棋関連グッズが飛ぶように売れる、将棋教室への入会者が倍増」
(将星会教室はそんなことはまったくないですが)

 

 

 

「子ども大会の参加者急増、将棋関係者は嬉しい悲鳴」

(大分県子ども将棋ネットの主催大会では、そんなことはまったくないですが)

 

実際に大分県子ども将棋ネットや将星会のことをメディアはたくさん採り上げてくれました。たしかに、子ども達は藤井4段の話題で持ちきりです。

 

でもですね。
でも、これ、極論すれば、バブルってものじゃないでしょうか。

そんなことを考えさせてくれたのは、A君です。

A君、こんなことを僕に話してくれました。

「先生、将棋は強くなるのに時間がかかるじゃないですか。
途中では、すごく負けが込むし、いやになっちゃって、辞めちゃう子がたくさんです。だから、今、ブームになったって、すぐ消えちゃう気がします」

このA君の言葉、フィーバーに冷水をかけるものかもしれません。
いや、「かも」じゃないな。
僕は、実際にどばっとかけられました。
振り返りますとね。
どこかで、こう思ってたんです。
「とうとう、来たなあ、将棋界。大分も、この波に乗りたいなあ」
いやはや、冷やされました。

で、思いました。
「これ、投了だなあ」

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「先生、将棋は強くなるのに時間がかかるじゃないですか」
そうだよなあって思います。
全く同感です。
そして、この言葉には、A君の大いなる自負があると思うんです。
言葉を換えれば、僕は、やってきたって言う誇りがきっとある。

「途中では、すごく負けが込むし、いやになっちゃって、辞めちゃう人がたくさんです。だから、今、ブームになったって、すぐ消えちゃう気がします」

「悲観」を語っているようで、実は「堅牢」とは何かを語っている。

そして、この言葉こそ、藤井4段が脚光を浴びる今だから、なお、少しでも将棋に関わる僕らにとって、大きな「くさび」となるものだと思います。

A君の冷水は、熱い胸があるからこそ、の言葉。
子どもは時として、熱い冷水をかけてくれるもんだなあって、思います。

テレビの取材、新聞の取材。
どこかで、勘違いして舞い上がっていた自分。
A君のお陰で、僕の中での狂騒曲は幕です。

(了)

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